∴脳内自由主義
「日時は来週、一日中ずっとクラスマッチなので授業はありません。」
我等が委員長が告げた言葉に、クラスは明るく沸き立った。
行事が楽しみということもあるが、それ以上に授業免除が嬉しいのだろう。
進学校の授業は退屈で、進度もなかなかに速く疲れるからね。
でも、こういう場面で喜ぶだなんて、みんな若いねぇ。
教室を微笑みと共に眺めていると、前の男子が振り向いた。
「なぁ、京は何をすんの?」
茶髪爽やか青年の彼は、青葉涼太(アオバ リョウタ)。
4月から何かと構ってくるが、嫌いじゃない。
快活で公平な彼は、誰にとっても好ましく、クラスを盛り上げる存在だ。
俺の中では、立派に陽の王道計画の一員だけどね。
ほら、居るじゃないか。
明るくて爽やかなクラスメート役だよ。
腹黒とかいう設定の場合もあるけれど、とにかく大切な役目を果たしているよね。
あまり目立たないうえに、恋が実る確率はかなり低いけれど。
「さて、何の競技があるんだい」
真剣に話を聞いていなかった俺は、軽く首を傾げて問う。
爽やかに小さく笑った涼太は、親指で黒板を指差した。
野球、バレー、サッカー、バスケ…。
黒板に書かれた5種目の最後に、俺は我が目を疑った。
しかし、どんなに目を凝らしても、何度まばたきしても、それは堂々とそこにあった。
「…鬼ごっこ?」
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