嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴7


そんな副会長が去り際に「殺す」だなんて言ってたのは、俺にしか聞こえなかったんだろうか。

俺の五感は発達しているからねぇ。
もちろん素晴らしい光景を見逃さないように。



「えっと…、大丈夫?」

呆然とした後、苦々しく悪態をつき始めた陽に、真澄が声をかける。

なんて優しい子だ。
受けにぴったりだよ。


「…まじ、ありえねぇ。男に2回もキスされた。ぶっ殺す、あいつ…!」

ぼそぼそと呪い続ける姿に、またときめいたのは秘密だ。

だって、やっぱり副会長ともイベントクリアしていたなんて!


あぁ、俺の心臓が落ち着いてくれない。
このまま死んでしまいそうなほどに、異常な動悸が止まらない。



それにしても俺は思うよ。


実はこの学園の全員が腐男子で、王道を読みまくってるんじゃないかな。
だっていくらなんでもこんなに事が上手く進むなんて、ねぇ。



何はともあれ、素晴らしい。

俺の心臓と同じように騒がしい食堂で、俺は神に感謝した。



嗚呼、素晴らしき。



[prev] | [next]

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -