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そんな副会長が去り際に「殺す」だなんて言ってたのは、俺にしか聞こえなかったんだろうか。
俺の五感は発達しているからねぇ。
もちろん素晴らしい光景を見逃さないように。
「えっと…、大丈夫?」
呆然とした後、苦々しく悪態をつき始めた陽に、真澄が声をかける。
なんて優しい子だ。
受けにぴったりだよ。
「…まじ、ありえねぇ。男に2回もキスされた。ぶっ殺す、あいつ…!」
ぼそぼそと呪い続ける姿に、またときめいたのは秘密だ。
だって、やっぱり副会長ともイベントクリアしていたなんて!
あぁ、俺の心臓が落ち着いてくれない。
このまま死んでしまいそうなほどに、異常な動悸が止まらない。
それにしても俺は思うよ。
実はこの学園の全員が腐男子で、王道を読みまくってるんじゃないかな。
だっていくらなんでもこんなに事が上手く進むなんて、ねぇ。
何はともあれ、素晴らしい。
俺の心臓と同じように騒がしい食堂で、俺は神に感謝した。
嗚呼、素晴らしき。
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