嗚呼、素晴らしき | ナノ
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鼻で笑った会長は、明らかに馬鹿にしている目で陽を見つめる。

「不潔そうな外見だな。所詮オタクか。拓巳、悪影響は受けるなよ。」


オタクの何が悪いんだか。
少し眉間に皺が寄ったのは、俺自身が腐男子だからだ。
腐男子もオタクも、ただ好きなものがあって、それを追求したいだけだ。
いくら王道会長とはいえ、人の好みや個性をとやかく言う権利はない。

もちろん、副会長も眉を思いきりしかめて反論しようとした。
だけど、それよりも早くバンッと大きな音が響いた。


「…何様だ、おまえ。」


机を叩いて立ち上がり、震える低い声を出したのは、もちろん陽。
うつむいているためよく分からないが、間違いなく怒っている。

怪訝そうな声を出した会長を、キッと顔を上げて睨みつけた。

「人を外見でしか見れねぇのかよ!周りをバカにして、見下して、それで楽しいかよ!?おまえみたいな最低野郎は一生逃げられ続けてろ!」

静寂が支配する食堂に、一気に言い放った陽の荒い息づかいだけが響く。

俺も息を呑んで見つめた。
まばたきだってしない心意気で2人を見つめる。
ここで見逃すなんて、腐男子代表としてありえないだろうよ。


そんな剣呑な雰囲気と俺の期待の中、会長は目をすがめて言った。

「おまえ、あいつを知ってるのか…?」

「え、あ…!い、いや全っ然知らないけど!」

あわあわと答える陽だけれど、演技は苦手なようだ。
俺にも、疑ってくださいって言ってるようにしか聞こえないよ。

しどろもどろの陽に、会長は口角をつり上げた。




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