嗚呼、素晴らしき | ナノ
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ボサボサの髪と黒縁メガネの不審者チックな格好なら、やろうと思えば誰にだって出来る。
もちろん俺にだって可能だろうさ。
やりたくは無いし、謹んで遠慮させていただくがね。

だけど、違うんだよ。
真の王道編入生は、そんなものじゃない。
一線を画した存在なんだ。

隠された美貌、秘められた過去、卓越した能力。
どれも良いが、最大のポイントはやはりその人柄にある。

どうにも気になる存在で、真実を見抜いていく奴。
副会長は本質を暴かれ、双子は見分けられ、会長は反抗され・・・。

奇妙で唯一の行動をする、不思議な人。
あたたかく純粋であったり、正義感あふれる強気であったり、さりげなく鋭かったり。
とにかく、学園中の人気者や変わり者の心を奪う。

なんとも魅力的で、好まれる人物。
それに、陽はぴったりと当てはまっている。
なんとも素晴らしい。


「こら!離れろって。食えねぇじゃん。」

離れる必要は無いし、もういっそ2人で食べさせあうのはどうだろう。

目の前で楽しそうにじゃれあう2人に、目を細める。
そんな萌える行動をしてくれたら、この目に焼き付けて夢にまで見るものを。

騒がしい食堂と、それを無視する2人と、よこで硬直している真澄を尻目に。
俺はただ、幸せそうな2人を見つめていた。

・・・若干の欲望と願望をこめた眼差しで。



「何やってんだ、拓巳。」




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