嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴待ちわびた逢瀬


「やっと会えた、陽…」

嬉しそうな吐息と共に、彼は陽に抱きついた。
ざわめく外野や悲鳴の中で、俺は感動を味わっていた。


綾瀬拓巳(アヤセ タクミ)
優しくてフェミニン、理想的な王子様、そんな副会長。

噂通り、白馬というオプションが付いていそうだ。
肩まであるサラサラの茶髪と白い肌。
線も細く、中性的である超絶美人。
確か、抱きたい・抱かれたいランキングの両方にランクインしていたね。

まぁ、俺からすれば猫被り腹黒副会長さ。
大切な王道要員だからね。


「びっくりした―。驚かせんな、拓巳!」

きゃああああ!
その瞬間、一際大きく響き渡った叫び声。


まさか俺の代わりに叫んでくれたのかな。
だって、だって…!
仲良すぎ!呼び捨て!くっつきすぎ!

…どうしようか、異様に動悸がする。


高鳴る胸を抑えつつ耳をすませば、周りは誹謗中傷や嘆きの声をあげていた。

王道展開で嬉しいけれど、自分の同士はいないのか、と少し寂しくなった。



「ふふ、オムライス食べてるの?…可愛い」

周りなんて無視して、陽を愛しげに撫でる副会長。
その笑顔は驚くほど落ち着いていて優しくて、幸せな本当の笑顔だった。

さすがだ、陽。




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