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そんな忙しい生徒会だって、今日ばかりは来てくれるだろうよ。
なんてったって王道。
王道編入生の初日は有り得ないくらいに濃いからね。
そういう決まりなんだよ。
もし、万が一、生徒会が来なかったら。
「抗議した後に報復だね。」
俺の夢を壊した対価として、徹底的に完全犯罪をしてやるさ。
ぼそりと呟いて、にっこりと笑った。
もちろん、誰にも聞こえてはいない。
「食堂に到着だよ。」
食堂の入口で陽を振り返ると、豆鉄砲をくらったハトみたいなお顔をしていたよ。
正真正銘の間抜け面だねぇ。
「ここ、すごいよね。僕もまだ慣れないよ。」
言葉も無い陽に、苦笑いの真澄がフォローを入れる。
俺はと言えば、陽の王道な反応や可愛い間抜け面、真澄の苦笑いに、くすくす笑っていた。
楽しいんだもの。
「あ、ありえねー…」
まだキョロキョロと呆気にとられる陽を引っぱり、食堂の利用法を教える。
ここのシステムは、空いている机に座り、備え付けのコンピューター端末から注文するものだ。
食券制ではなく、むしろレストランみたいだね。
注文の際には、カードが必要となる。
もちろん、一流のコックの料理だ。
上に光るシャンデリアといい、洗練された動きのウェイターや陶器類といい、本当に無駄遣いの宝庫だねぇ。
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