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「何でだよ。」
唇を尖らせたのは、可愛らしく拗ねた様子を表現したいのか。
先生がやっても、俺は萌えないねぇ。
残念ながら、範囲外かな。
クラスの何人かは悶えていたが、俺はあっさりと切り捨てた。
「早く藤浦くんと話したいだけです。」
ぜひぜひ、仲良くなりたいからね。
きっと、この子は事件とBLを俺に提供してくれるよ。
だって、王道編入生だもの。
「・・・まぁいい。じゃあ、今日も頑張れよ。」
先生はつまらなさそうに肩を落としながら出て行った。
何が気に入らないんだか。
とにかく、待ってましたとばかりに身体ごと横に向き直る。
その勢いに、陽がちょっと引いたのは無視しよう。
俺のとってもデリケートな心が若干、傷ついたけれど。
これからのBLが癒してくれるだろうからね。
「陽は、何号室?」
僕は4008号室なんだけど、と言いつつ首をかしげる。
「ああ、俺も4階。」
だけど、部屋は分かんねぇや。
困ったように笑う陽に、カードを出すように求める。
王道学園のカードは、クレジットカードであり、生徒手帳であり、ルームキーだ。
端のほうには、部屋番号が書かれている。
「…なに、それ。」
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