∴きゃっほい!
あぁあああ…!
どうしよう、どうしよう!
遂に……きた―っ!
にやけてしまう。
どうしても表情筋が緩む。
高ぶる感情を抑えつつ、顔を下に向けた。
だって、仕方ないだろう!
俺の夢が、いや腐男子や腐女子の夢が!
まさに、今、そこにいるんだ!
「藤浦陽(フジウラ ヨウ)です。よろしくお願いします。」
ありきたりに短く言って、ぺこりと頭を下げる。
俺も馴染んだ教室からは、ブーイングが飛んだ。
だけどね…!
みんな期待外れだ、なんていうけど、俺にとっては期待通りなんてもんじゃない…!
ボサボサの黒髪、黒縁眼鏡、きっちり着た制服、その他もろもろ…!
季節はずれの王道編入生!
想像通りの理想的だよ萌え!
そして同じクラスだよ。
おそらく空いている俺の隣の席だよ。
神様、本当にありがとう!
むふふと笑いながら、俺は叫びたいのを堪えていた。
やっぱり王道いいよね!
九重学園の我らがSクラス、そして腐の世界へ、ようこそ藤浦くん!
大歓迎だよ、萌をよろしくね。
上機嫌の俺は、歩いてくる藤浦くんににっこりと笑いかけた。
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