∴前進、だろうか
さて、これからどうしようか。
迷子な俺たちの脱出劇。
なんとも疲れる滑稽劇じゃないか。
楽しいから良しとするけれどね。
BLと同じくらいに楽しいことは好きだよ。
自分に害が無いのなら、という条件が付くけれど。
「真澄、何か案はあるかい?」
「…ごめん。全く、ない。」
だろうね。
期待はしていなかったし、構わないよ。
それに、そこまできっぱりと言い切れるなんて素敵じゃないか。
無難なのは、見える建物へひたすら直進することだ。
だけど、ちっとも面白くない。
無駄に疲れるだけじゃないか。
さて、どうしようか。
そんなわくわくと考える俺に、それは唐突に飛び込んできた。
なんともかぐわしい、美しい香り。
癒やしをくれる、華やかな風。
「…花園?」
風に乗って濃く流れてくるのは、花の香り。
察するに、かなりの量の花がある。
中庭や前庭はパンフレットにもあったが、森の中の庭園なんてあっただろうか。
まだ気づいてもいないような真澄を連れて、源を探りながら歩き出す。
俺は今、確信している。
これはあれだ。
生徒会だけの憩いの場だとか、なんか誰かの個人物ってゆうことなんじゃないかな。
うん、金持ちなら学園への寄付の代わりに趣味として、であり得る。
とにかく、きっとこの先に、不思議な人と真澄の出会いがある。
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