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「やりすぎだね。ふざけてるよ。」
「うん…。」
うなづく真澄は、可哀想なほどにぐったりしている。
正直言うと、俺も心身共に疲労困憊さ。
豪華すぎるんだよ、広すぎるんだよ。
ここは本当に学校なのか。
これが学校というカテゴリーに収まってしまっていいのか。
いくら私立のお坊ちゃま学園といえども、ここまでだとは予想外だ。
自分の理解を超えている。
庶民として理解など出来るわけ無い、したくもない。
春休み中だが入学前だから校舎内には入ってないが。
それでも敷地が広大すぎて、足が痛い。
散歩だとか言って、一巡りしようとした自分は愚かだ。
そういえば、ここは大きな山ひとつ分有るんだった。
周りを囲む森は、丁寧に手入れされていようが、あくまで森なんだよ。
ふかふかの鮮やかな芝生にもうんざりしてきた。妙に苛立つ。
隣の真澄は俺以上に覇気がない。
寮を出て、既に2時間。
道に迷って、1時間半。
寮は見えない、人はいない、見える建物が近づかない。
疲れた、お腹すいた、イライラする。
素晴らしい。
絶望のシンフォニーだ。
だけど、そろそろ休憩をとらないと真澄は限界だねぇ。
文句も言わずに歩いてるけど、口数があまりにも少なくなってきた。
「真澄、休まない?」
必死にこくこくと頷く様は…可愛らしかった。
ふふっ、やっぱり真澄は平凡受けさ。
その姿は、俺に少しの希望と癒やしを与えてくれた。
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