∴もしも…part1
【大河と京がカップルだったら】
「ねぇ、大河」
2人きり、静かな大河の部屋に俺の声が響く。
雑誌から顔を上げた大河に、にこり笑んで問いかけた。
「もしもの話で、俺が浮気したらどうする?」
は、と虚を突かれたような顔をした大河は、それからみるみるうちに険しい表情になった。
「…っ浮気したのか、京」
予想通りの分かりやすい反応に、だからもしもの話だってばと肩をすくめる。
でも、こうやって真っ直ぐで分かりやすくて一途なところ、嫌いじゃない。
むしろ、そのたびに俺を安心させてくれる。
「ぜってぇ、浮気なんかさせない」
だって、独占欲も支配欲も、彼のものなら心地よいんだよ。
「京、おまえはどうすんだよ」
強い視線が俺を射抜く。
大河の腕に腰を引き寄せられつつ、ゆるりと口元を緩めた。
「そんなことしないでしょ」
両手で包んだ頬が熱い、見える耳が赤くなる。
照れた大河は、可愛くて可愛くて。
いきなり激しく唇に噛みつくようなキスをするのも、照れ隠し。
俺だけの、俺だけにしか見せないで。
浮気なんてしたら、俺は相手さんを消してしまいそうだもの。
分かってるよ。
大河は不器用だから浮気なんてしない。
だけど、俺がいるのに彼の目を奪う雑誌に嫉妬して、愛を確認したくて、キスが欲しくて。
分かってる。
俺たちは2人とも依存症、もう末期。
うっすら目を開ければ、真っ直ぐに俺だけを見つける瞳があって胸が高鳴った。
[prev] | [next]
back