嗚呼、素晴らしき | ナノ
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もの言いたげに動いた唇を視界の端にとらえたまま、俺は生徒会室を後にした。

お話の続きは、また次回だ。
一度に全てを話し尽くすだなんて、つまらないもの。
勝手に想像したり、わくわく待ち望んだり、また会う日まで楽しみにじれったく生きたり。

素晴らしいじゃあないか。青春じゃあないか。


放課後、すでに一時間はたっているだろう。
さて、何をしよう。
部屋でゆっくりサイト巡りでもしようかな。

ゆったりとエレベーターへ向かって歩く。

管理棟の七階は生徒会と風紀専用、八階は理事長室だ。
両方とも一般生徒は立ち入り禁止、特別なカードキーでしか専用エレベーターは作動しない。
一般生徒は許可証である特別なカードをもらったり、役員に連れて行ってもらったりしなきゃいけない。

だから今の時間でも人影もない。
さすがに生徒会室が無人だったのは拓巳が人払いしたのだろうけど。

ちなみに副会長は気づかなかったけれど、俺だって普通なら入れないよ。
許可証なんて持ってないしね。


「…思わぬところで役立ったなあ」

懐にある銀色のカードキーに思いを馳せる。
一般生徒は白、職員は灰色、理事長は金、そして風紀が黒で、銀色は生徒会だ。

つまり、とある生徒会役員の部屋のスペアキー。


「お礼がてら、遊びに行こうかな。」


脳裏に浮かべた、穏やかな瞳に、ふっと気持ちが和らいだ。


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