∴仲間か同族か
静かな生徒会室に2人。
だが、さして緊張もしなければ、高揚もしない。
ぼんやりと物思いにふけれるほどには、自然で落ち着いた雰囲気だ。
「ああ、僕のことは拓巳でいいから。」
ぽつぽつと話している途中、不意に彼が話題を変えた。
それまでは、もっぱら学園への不満やらを俺に愚痴っていたのにねぇ。
「何故?」
ゆるりと首を横に倒せば、美しい微笑みがかえってきた。
やっぱり副会長は美人だ。会長×副会長も鼻血ものだし、美人攻めも捨てがたいなあ。
小さな動作や言葉が、すぐに腐男子的思考につながってゆく。
「ほら、仲間でしょ。」
処世術での微笑み、猫かぶりの腹黒、武将より参謀なところ、排他的、親衛隊もある。
指折り挙げて、同意を求めるように笑んでくる副会長。
最後のキーワードがかなり引っかかり腑に落ちなかったが、そこは無視して微笑みを返した。
「同族嫌悪って知ってます?」
すると彼は、艶やかで美しい笑みを浮かべた。
雰囲気が和らぎ、その笑顔は花開くように鮮やかで華やか。
鈴を転がすような、涼やかな笑い声が響く。
それは、今まで見た中で、最も美しく輝く笑顔だった。
これこそが、彼の本当の笑顔なのか。心の底から笑ったときの。
ほう、と思わず息を吐く。
魅入られ見入るほど、それは美しく、心地よかった。
[prev] | [next]
back