嗚呼、素晴らしき | ナノ
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面倒なのは確かだけれど、非日常の刺激にわくわくもしている。
平穏は大切だけれど、同じものを永遠にリピートだなんて、退屈で狂ってしまいそうだものね。


副会長に劣らぬ仮面で、にこやかに応対する。

演技派だとか、腹黒とも言える自己中心的な策略家なところとか、俺とこの人は共通点も多い。
だからこそ、妙に負けたくは無い気もするんだ。
俺ってけっこう負けず嫌いなんだなあ。


「陽とはただの友達、なんだよね。」

ただの友達というフレーズをやたら強調した確認の問いに、にっこりと微笑む。
意味深に笑って煽りたいのもあったが、にやける顔を誤魔化すためでもあった。

だってこれは、ライバル格の人間に対する嫉妬と牽制だよね。
この王道副会長ったら、本当に萌える行動をしてくれるんだから!

ふふっ、いいなあ。
嫉妬とか独占欲とか、そういう傲慢な感情っていいよね。
もちろん、他人の恋愛においての話だけれど。


かすかに眉をひそめた副会長に、ゆっくりと口を開く。

「おそらくは。」

またもや曖昧な態度だけれど、これは別に彼を煽ってるわけじゃない。
ありのままの俺の本心だよ。

“ただの友達”という括りにしては、少しおかしい気もするんだ。
だって俺は、陽を自分の萌えのために利用している。
彼が王道編入生でなければ、こんなに近づいてはいなかった。

明らかな利害関係のもとに成り立つ関係。
相手方の気持ちなんてまるで無視した勝手な策略。

さらに言わせて貰えば、彼を特別に大切にしているわけでもない。
一緒にいて居心地が良いとか、心が躍るわけでもない。


こんなものを、友達だなんて輝かしい括りにして良いのかねぇ。

話したらみんな友達、がモットーのような陽からすれば友達かもしれない。
だけど俺からしたら、ただの萌え材料。


なんかこんな事を言うと、俺が悪役みたいじゃあないか。

一般の道徳だなんてどうだっていいし、胸も全く痛まないけれどね。


「そう、それで、千島くんは陽をどう思ってるの。」

しばしの沈黙の後に、先ほどよりわずかに強張った表情で聞かれる。

俺は再び、にこりと音を立てずに笑んだ。


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