嗚呼、素晴らしき | ナノ
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うんうんと頷いて、なにやら考え込んでいる陽は、一体どうしたのかねぇ。

まったく、これだから王道編入生という生き物は分からないよ。
行動も反応も、全てが予測しづらい、枠を超えたものなんだから。

そんなやり取りをしながらも、順調に部屋の前までたどり着いた。

ちなみに、俺と陽の部屋はお隣さんだよ。
ふふ、腐の神様ってば、本当に優しい方だよね。


あっさりとじゃあね、と手を振ろうとしたが叶わなかった。
手が、あがらなかったんだ。

理由なんてそりゃあ、陽が突然に俺の腕を掴んだからだろうよ。


「どうしたの?」

いつも一緒に食堂で食べる夕飯のことかな。
それとも、かくれんぼの件をまだ引きずっているのかな。

こてんと首を傾げる俺に、なにやら決意した目の陽は言った。

「あのさっ、よければ・・・、かくれんぼで一緒になろうぜ?」


稚拙な言葉に、疑問符が浮かぶ。
いや、致し方ないだろう。
明らかに陽が言葉足らずなんだもの。

「ええと、俺と陽が鬼と隠れる側に分かれた際に、どちらかが片方を捕まえて、一緒に七夕を過ごす、ということ?」

まばたきをして確認をとると、大きく頷かれた。

ううむ、どうしたものか。
出来れば俺は、陽は会長あたりの生徒会と一緒になって欲しいんだけどな。

こんな美味しいチャンスに、どうして萌えを求めずにいられようか。

「ほら、楽しそうだしっ、遠慮もいらなしさっ・・・友達、だろ?」

俺の沈黙に、少し焦った様子で言葉を重ねてくる。
別に俺は、拒絶しているわけじゃないのにね。


うろたえて、だんだんとしゅんとする陽に、くすりと笑みを漏らした。



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