嗚呼、素晴らしき | ナノ
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ぽかん、と思いっきり呆けた陽。
ぱちぱちとまばたきを繰り返しながら、ぱくぱくと形のいい口が物言いたげに動く。

気持ちは大変よく共感できるが、ここまで清々しく間抜け面をされるといっそ可笑しい。
くすりと忍び笑いをすると、少し気を取り直したらしい陽ががばりと肩を掴んできた。

「は!? 鬼ごっこの次はかくれんぼだぁ!? 意味分かんねぇ!ってか、もっと詳しく説明しろって!」

いやあねぇ、そんなに揺さぶられたら気分が悪くなっちゃうでしょうが。
そんな大きい声は、廊下じゃ響くのだよ。
もっと、TPOというものを考えたらどうだい。


「かくれんぼはねぇ、かくれんぼだよ。」

へらりと笑えば、もっと強く揺さぶられた。
だけれど、それ以外になんと言えばいいのやら。

とにかく、俺が司に聞いた話はこうだ。


この学園では、9月の初めに文化祭と体育祭を合体させた学園祭がある。
3日にわけて行われる、1年で最も大きなイベントだ。

その準備には、夏ごろから皆で取り掛かる。
しかし、それではクラスマッチ後の6、7月あたりが何もイベントが無く、面白みも無い。

と、いうことで作られたイベント。
それが、七夕に行うかくれんぼ、ということだった。

いや、なんでそこでかくれんぼなのかは知らないけれどね。
一般男子高生には似合わないことこの上ないけれど、可愛らしいよねぇ。


全校で行うかくれんぼは、半数ずつ鬼と隠れる側に分かれる。
そしてここで、この学園ならでは、お待ちかねの特別ルールがある。

隠れる側は、2つの腕輪をしている。
鬼は、見つけて追いかけて、その腕輪をゲットしなければならない。

「そうやって捕まえた相手と、七夕の夜を過ごすらしいよ。」


ということは、捕まえる相手も狙える、選べるということだ。
結局は、恋愛イベントに近いということだねぇ。



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