嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴次なる試練


そんなこんなで、俺と陽は寮への道をてくてくと歩いている。

色々と省略しちゃって申し訳ないけれど、だって特になんということもなかったんだもの。

仮眠室を出た俺と司を迎えたのは、少し不機嫌な陽と相変わらず読めない双子。
俺が仮眠室にいた間に何があったのか、やたらと司に敵対心を持っていた陽には驚いた。
まぁ、俺様には強気受けがベストだろうし良しとしよう。

それにしても、あの風紀委員長と2人きりで話すなんてね。
その上、意外と俺と分かり合えそうな人物だったなんて想像もしていなかったよ。

陽と共にいると、次から次へと何かが起こる。
さまざまな出会い、厄介事、萌えイベント、新たな発見、気づき。
退屈はしないが、大変疲れるよ。

疲労の原因は、俺が歳なだけかもしれないねぇ。
だって、陽はいたって普通で元気いっぱいだもの。


「で、何を話してたんだよ、あの風紀委員長とっ!」

いやはや、そろそろ諦めてくれると嬉しいな。
風紀室を出てから、その話題ばっかりじゃないか。

「京、聞いてる?」
「聞いてるとも。」

じれったそうに首をかしげて覗きこんでくる陽に、にこりと微笑む。

・・・残念ながら、効果は無かったみたいだけどねぇ。
陽はそっぽを向いてしまうし、通り過ぎる他生徒にはじろじろ見られた。

全くもう、嫌になるよ。
ああ、俺が副会長のような美貌と完璧な王子スマイルでも出来ていたら!

・・・言ってみただけで、本当は羨ましくもなんともないけれどね。


「・・・あ、」

どうやって言い逃れようか、と考えていると、ふっと脳内をよぎるものがあった。

すぐに俺を期待の目で見てくる陽に、小首を傾げながら口を開く。


「もうすぐ、“かくれんぼ”があるんだってね?」




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