嗚呼、素晴らしき | ナノ
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それでも緊張と警戒は解かずに、静かに横に座る。

なにもこれは、この委員長に限ったことではないけれど。
むしろ、この仮面は学園にいる間はほとんど装着しているのだけれど。


俺の動きを、再び無表情で確認すると、さらりと委員長は言った。

「あの編入生は、風紀のブラックリスト入りだ。」
「・・・まあ、でしょうね。」

人気者には率先して絡むし、親衛隊の憎悪の的だし、自重しないし、マナーもなってないし。
陽だけが悪いわけでもないし、むしろ彼は無邪気の塊なのだけれどね。

王道編入生は、人気者ホイホイであると共に、事件ホイホイだからね。
妙な吸引力でもあるんだろうよ。

「そこで、だ。」

すっと俺を見つめ、委員長は目をすがめる。


「何故、おまえみたいな奴があいつといる。」

似たようなことを、吾妻渉にも聞かれた。
しかしこれは質問という可愛いものじゃなく、最早詰問だ。
その冷たい威圧に、姿勢を正す。

「友達、というのでは納得しませんか。」

無駄な足掻きだろうけれど、試しに言ってみれば、表情を変えずに鼻で笑った。


「ここでくらい、猫を被るな。」

あらまあ。
やっぱり俺が常から演技をしていると気づいてたみたい。

「仮にそうだとしても、風紀委員長に気なんて許せるわけないでしょう。」

俺がにっこりと艶やかに笑うと、委員長は唇を濡らして言い放った。


「俺は、鬼城だ。」

今はそれ以上でもそれ以下でもない。
そう続けた言葉と視線は、まっすぐに俺を貫いた。


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