嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴風紀室にて


すさまじい生徒の視線の中、食堂から連行されたのは、俺と陽の2人だけ。

確かに、真澄を巻き添えにするのは不味いし、大河が来たってあれだろう。
不器用で可愛いところも多いけれど、大河は素行の悪い不良なんだから。

しかしねぇ、これなら俺だって来たくなかったな。

ふぅ、と心の中で溜息を吐こうと、俺は既に風紀室にいる。
過ぎ去ったことを悔やんでもどうにもならない。


「わあ、これ美味しい!ほら、京も食べろってば。」

ソファで隣に座る陽が満面の笑みで甘味をすすめてくるが、やんわりと辞退しておく。

向かいのソファに座る委員長は無言、その隣に立つ双子はへらへらと笑う。俺は微笑みながらも内心はもう疲れ果て、隣は空気も読まず上機嫌。
なんだか、妙にカオスな雰囲気だよね。

「え―と、」
「あのさ―」

風紀室にあった菓子にすぐさま飛びついた陽、その勢いに流されてしまった俺たち。
ここにきてから大分立つのに、まだ本題に入れていない。

遠慮がちに双子が声をかけるが、陽には届かず。
委員長は、無視して書類と向き合う。


・・・ああ、いい加減にしてほしい。
こんなことなら、すぐさま部屋にもどって素敵サイトめぐりでもしていたのに。

無駄に過ぎる時に、やたら苛立つ。
無論、表情には微塵も出さないが、それでもじりじりと神経が焦がれる。


「・・・風紀委員長、」

ぽつりと呟くと、無表情の彼が顔をあげる。
サービスのつもりでにっこりと笑って、すっと立ち上がる。

「気分が優れないので、退室してもよろしいでしょうか。」

それに、もめた張本人は俺じゃないしねぇ。
ちらりと横を見やるも、陽は驚いた顔をしていた。

「え!?大丈夫か、京!」

うん、きっとこの部屋から出れば大丈夫だろうね。
心から心配してくれていると分かる陽には申し訳ないけれど。




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