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その視線をまっすぐに受け止めて、少しだけにこりと笑う。
優秀な俺の表情筋は引きつることもなく、しかし委員長はまた少し目を細めただけだった。
委員長は、いっそ見事なほど陽を拒絶した。
そこに感じたのは、冷徹でまっすぐな意志。
他者との馴れ合いを疎い、無邪気すぎる陽を嘲笑う冷酷さ。
この風紀委員長、絶対に性格悪い。
副会長の腹黒よりひどいはず。
なんかねぇ、俺と同族に近いんじゃないかな。
…嬉しくはないけど。
あちらも俺から何か感じたのか、興味深そうに俺を見てくる。
陽は言葉を失って震えているのに、そちらには見向きもしない。
どうやってこの場をおさめようか。
どうしたら、陽の影から目立たず観察できるだろうか。
とりあえずは、この委員長を味方につけるか、他人で終わらせるのか。
痛む頭で、最善策を探していると、控えめにへらっと声がした。
「あ―、ここじゃなんだしぃ。」
「みんなで風紀室まで行こうよ。」
まだまだ風紀メンバーとの静かなる駆け引きは始まったばかり。
逃げることはできまい。
気を引き締めて、行こうじゃないか。
俺は静かに、先の学園生活の萌えのために立ち上がった。
嗚呼、素晴らしき。
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