嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴共通に胸痛


内心で溜息を吐きつつ、表面上は波風を立てぬよう、穏やかに笑んで見せる。

「その方は風紀委員長さんで、2年生の先輩だよ。ほら、昨日の全校集会で紹介があったでしょう?」

今度は視線を俺に向けてくる委員長にも、表情は崩さずに笑む。
嗚呼本当に、どこまでも冷たい目だねぇ。
あくまで声を発した俺を認識するためだけに視線をやったにすぎない。

これを、陽は悲しい目だと言った。
人を拒絶して、諦めてる、孤独な悲しい目であると。

俺には分からないけれど、陽は確かにそう言ったじゃないか。
あれほど手厳しく抉るように、愛ではなく憐憫で指摘したじゃないか。

全く、忘れるのが早すぎるよ、君。


「・・・・ああっ!」

ようやく分かったのか、陽は勢い良く委員長に向き直り、じろじろと見る。
礼儀はなっていないが、まあ悪意のある視線ではない。

「そういや、ステージの上の人みたいな悲しい目してんのな!、です!」

はい、きました。
とどめのような爆弾発言、本人を前にして言い放つ編入生クオリティ。

いやまあね、予想はしていたともさ。
その意味の分からない敬語も、本人に遠慮なしにずげずげと言うことも、声量が変わらず大きいということも。

だけれど、実際に目にすると少し・・・あれだね。
陽は少しはもっと常識人になるべきだよね。


対して委員長は、何も言わずに陽を睥睨している。
周りのギャラリーは、ひそひそと呟きながらも、凄い集中力でこちらを必死に見ていた。


「えっとさ・・・あ、の。」

敬語を上手く使えず、少しはにかみながら、陽はにぱっと笑って告げる。


「友達になろうぜ!」




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