嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴5


存在感抜群の風紀委員長の彼が歩いてくる。

ゆったりとしているが、のんびりとしているわけではない足取り。
真っ直ぐに見据えられた瞳は、鋭くこちらのテーブルを捉えている。

その覇気に、周りはきっと飲まれて、言葉を発せなくなったのだろう。

「俺の言った仕事はしたのか。」

どこまでも冷たい声だが、別段咎める色はない。
きっと彼は、ただ単に彼の事実を言っているだけだ。


「・・・っ、なんだよお前!翔たちが嫌がってんじゃねぇか!」

不自然な沈黙の中で、大きな声をあげる陽。
風紀委員長はやはりかっこいいねぇ、としか思っていなかった俺は、そりゃもう驚いた。

いやはや、流石だよね。
だって、こんな沈黙の中で、しかも天下の風紀委員長相手に怒鳴るなんて。
やっぱり陽は特別だと思う。


「それは、本人がそう口にしたのか。」

ふっと陽を見据えて、風紀委員長は呟く。
無機質なその表情と声に、思わず身構えてしまうのも分かる。

「っ、いちいち口にしなくても俺は分かるんだよ!」

眉をしかめて不機嫌を露にする陽に、食堂が静かにざわめく。
非難の呟きだろうが、風紀委員長の効果か、小さな呟きに留まっている。

「そうか。」

あっさりと何も言い返さず流した委員長に、陽は肩透かしを食らったようだ。
俺も驚きだけれど、委員長は無駄を嫌う合理主義なのかねぇ。


話は終わったというように双子に向き直った委員長。
対する双子は、苦笑いで誤魔化そうとしている。

「・・・おいっ!おまえ、誰だよ。偉そうにすんな!」

そういう君はどうなんだろう、と思うのは俺だけじゃないはずだ。
そして、自己紹介は聞いていなかったのか、と呆れているのも俺だけじゃないはずだ。



[prev] | [next]

back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -