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「あなたが弟なんですね。」
にっこりと確認するように言えば、彼は驚くでもなくただ眉をしかめた。
「・・・なんで、」
面白いほどに周りは気づかない、二人だけの静かな会話が楽しい。
実は性格が全く違う双子だなんて、本当にギャップ萌え。
何も言わず、満面の笑みで誤魔化しておく。
なんで分かったかなんて、そりゃあ腐男子クオリティだからねぇ。
直感と観察からくるものだけれど、おそらく楽天家で明るい兄と、慎重で聡い弟。
ほおら、素晴らしき弟×兄フラグじゃあないか。
ふふ、という表面の笑いが思わずむふふ、と怪しげなものになりそうだよ。
おっと、いけない、気をつけないと。
共通して排他的で影のある人物だろうけれど、中に抱える闇もまた、それぞれで少し違うんだろうね。
ああ、ってことは陽は双子を、同時じゃなく別個でさとすべきだったんだ。
・・・まあ、どうにかなるさ。
だって陽は王道編入生だもの。
「それで、あなたはどう思いますか。」
俺は何がしたいと思う?
頬杖を付いて斜めに見やれば、渉は今にも舌打ちしそうな顔になった。
それでも静かに耐え、雰囲気を変えないあたり、かなり演技と仮面が板についていると見える。
きっと、それでも俺が上手な気がするけれどね。
「君ってあれでしょ、自分に利がなきゃ動かない人でしょ。」
周りに聞こえないようにか、ぼそぼそと呟く声にしっかり頷く。
そして心の中できっぱりと断言しておく。
当然でしょう、だって人間だもの、・・・いや、違うか。
当然でしょう、だって腐男子だもの。
俺の萌えのため以外には動くわけない。
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