嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴かすかに見えた


なんだかんだでの吾妻双子との食事タイムだ。

とは言っても、陽以外のメンバーはすでに食べ終わってしまっているけどね。
大河は退屈そうだし、真澄は今すぐにでも退席したいみたいだ。

一方の陽はかなりの上機嫌で、双子相手にマシンガントークを繰り広げながらおいしそうに食べている。
周りの罵詈雑言や非難の目も気にならないようだねぇ。

惜しいことは、ぼさぼさの髪のせいで、きっと可愛いんであろう笑顔はよく見えないんだよね。
もったいないなあ。

にしても、王道編入生の姿形の異様なことといったら。
いくらかつらと分かっていても、ちょっと不潔すぎるよねぇ。

少なくとも俺は、外見だけ取れば絶対に一緒には食べたくない。
ふぅ、と息を吐くと、それを拾った吾妻双子の銀髪の方が目を向けてきた。

…確か、こちらが渉だったよね。


「…ねぇ、どういうつもりなの―?」

いつも通りのイントネーション、表情、首を傾げる仕草。
そんないつも通りの、だが小さい声で尋ねられるが、声音はかたい。
ちなみに、金髪の翔はこちらに気づかず食べ続けている。

…なるほどねぇ、やっぱり性格にも違いはあるんじゃないか。

「それは、俺に?それとも彼に?」

陽を視界に入れながら問えば、渉の眉間にかすかな皺ができた。

何か文句を言ってくるかと思いきや、そのまま彼は何も言わない。


ふぅん、と微笑めば、渉は目を逸らした。



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