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確かに陽は、闇を見抜く。
だけれど、それを指摘された人間は、どうだろうか。
陽の指摘によって己の闇に気づいたり、そこから脱却出来た者、素直に受け止められた者。
それならば、救いを与えてくれた陽に感謝したり、好きになったり、懐いたり、もちろん友達にだってなってくれるだろう。
今度は俺が陽を救うのだ、と王道的展開で陽を愛してくれるだろう。
だけど、己の闇を理解し、なおかつそれを許容している者、歪みが深すぎる者。
それならば、きっとそうはいかない。
傷つけられ、抉られたのだから、警戒はもちろん、排斥しようとしたり、拒絶するだろう。
そして、どうも双子は後者のようだ。
そのうち陽のハーレム要員になってくれればいいなぁ、とは思っている。
まぁ、難しいよねぇ。
風紀委員長なんて、もっと難しそうじゃあないか。
「・・・一緒に食べますか。」
少し滞った会話の中に入りつつ、双子に問いかける。
あくまで、食事を共にするかしないかはそちらの意思で決めていいのだというニュアンスで。
だってほら、この双子ってかなり排他的だからねぇ。
そんな勢い良く言ってたら、きっと逃げられてしまうよ。
「・・・うん、そうだねぇ―。」
「・・・うん、いいかもね―。」
へらりとまたいつもの笑みを浮かべて、2人は椅子を持ってきて腰掛けた。
4人がけのテーブルに6人、狭く感じるところだろうが、この食堂はやたらゆったりしているので全くそんなことはない。
机やら椅子やら、やたら豪華で広々としているんだよねぇ。
タッチパネルで注文を始めた2人と、それをにこにこと見やる陽を見つつ、そういえばどうして双子が来たのか、と疑問に思った。
・・・周りの歓声と罵声は聞こえないことにして。
だんだん慣れてきちゃって、もう最近ではごく自然にバックミュージックと捉えられるようにはなったのだけれどね。
それも問題だよね。
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