嗚呼、素晴らしき | ナノ
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いただきます、と全員揃って挨拶する。
理由はもちろん、陽の要望だ。
みんなで一緒に仲良く食べ始めるなんて、可愛らしいよね。

スプーンを入れると、ふわっとチキンライスが香った。
一口食べれば、程よい熱さでとろりととろける卵、パラパラのライス、絡み合う両者。
鼻腔をくすぐる香りからして想像はしていたが、確かにかなり美味しい。

「ここのオムライスって美味しいねぇ。」

ちょっとばかりは強引だったけど、引き合わせてくれた陽ににっこり笑う。
王道編入生が可愛らしくオムライスを選ぶわけだって、十分に分かる。

ざわざわと周りはうるさいが、それも美味しいオムライスに許せるくらいだ。

上機嫌で食べ始める俺に、静かに食べる真澄、にこにこしながら大量に食べまくる陽。
ちなみに、大河はなんだか明後日の方を向いている。
何かあったのかな。


大河に話しかけようとした途端、食堂のざわめきがひどくなった。
叫び声まで聞こえる。

「…うわ―、なんだろ。」
「ふふ、生徒会とかじゃないかな。」
「え、まじ!? 暁良たちも来るのかっ!?」
「…チッ、うざってぇ。」

うん、反応から見るに、真澄と大河は歓迎はしていないみたいだ。
まあ確かにうるさいし、面倒だものねぇ。
しかしまあ、陽ってば本当におもしろいよね。
人類みんな友達、の精神を真剣に持っていらっしゃるよ。

立ち上がりキョロキョロする陽を見て、やっと来たらしいイベントに満足する。

よし、オムライスが待ってる、食事再開だ。




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