嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴食堂すなわち出会いの場


全校集会の翌日、俺たちは食堂にいた。
当然のことなんだから、何でかだなんて野暮なことは聞かないでおくれよ。

風紀委員会という、新たな素晴らしい方々が登場した。
となれば、王道編入生は食堂に行くしか無いだろう。
他学年や他クラスの人とのイベントは、大抵食堂で起きるものだからね。

「京は何を食べんの?」
「そうだねぇ・・・。」

タッチパネルに広がるのは、どれもこれも美味しそうな料理の数々。
迷う俺に、陽はにこにこと笑いかける。

「じゃあさっ、オムライスにしようぜっ!」

この前食べたオムライスすっごく上手かったんだよな、とか言いながら、さっさと注文を終える陽。
少し、めまいがした。

だって、俺はうんともすんとも言ってないのに。
なんでこの子は、勝手に注文しちゃってるの。
好意からかもしれないけれど、これで俺が卵アレルギーとかだったらどうするの。
可愛いけど、心の狭い俺の許される限界に挑戦してるよね。

王道編入生って、宇宙人なのかな。
はは、と思わず表面上の笑みが強張った。


「・・・京、」

とんっと、右隣の真澄に肩を叩かれる。
振り向けば、おつかれ、とその小さな口が音も無く言葉をつむいだ。

・・・真澄、君は俺の癒しだよ。

友人のささやかな慰めに頷きつつ、食べ物で好き嫌いはほとんどない自分に感謝した。


あまり待ち時間もないうちに、美味しそうな料理が運ばれてくる。
ありがとうございますっ、と元気に笑顔で言う陽に、少し気分は浮上した。

王道編入生なんだから、ちょっとくらい自己中心的で仕方ないよね。
諦めって大切なんだから。

「あぁ、これは美味しそうだねぇ。」

目の前に置かれたオムライスは、とろとろ卵の黄色がまぶしい。
思わず顔がほころんだ。




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