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嗚呼、どうして。
ふと考えてみれば、この奇妙な状況はどういうことだ。
前方に見えてきた救護の、一般よりもずっと綺麗で大きなテントを視界に入れつつ思う。
涼しい風が吹く中、まだ握られている手のひらはうっすらと汗ばむ。
前を颯爽と、しかし俺に配慮した歩調で歩く会長。
思ってもみなかった展開だとも。
やはり、運命というものはいとも簡単に転がり、予想は裏切られる。
嗚呼、足りない。
萌えが足りないなぁ。
期待していた分、心が沈む。
こんなにあっさり、俺の鬼ごっこは終わってしまうのか。
それでも、今日得たものも確かにあって、今日だけのものに溢れているんだよねぇ。
大丈夫、まだまだ俺の学園生活は始まったばかりだよ。
また明日、今日を糧に頑張ればいい。
別に行事無くとも、萌えは得られるさ。
大切な刹那の日々、分からない明日、悪くない学園。
まわりだした、学園生活。
嗚呼、素晴らしき。
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