(2)
他の先生はどこだ、と初めの頃はこいつに聞いていた。
そのたび、「邪魔だ」とか「俺だけは不満か」とか「追い払った」とか、よく分からない返事が返ってきた。
誤魔化すのも大概にしてくれよ。
…だけどまあ、いても面倒くさい。
こいつ、黒崎と2人の方が、ずっと気が楽だ。
「で、何作ってんだ?」
明るいノートパソコンを覗くと、びっしりと数字が書かれたエクセル画面だった。
うわ、止めろよ。
化学教師だけど数学苦手なんだって。
「予算案」
心の中で眉をしかめていると、黒崎が短く答える。
簡潔すぎる答えに拍子抜けして、思わずまじまじと見つめると、黒崎はにやりと笑った。
ちなみに視線は流し目で、かっこいいなあだなんてしみじみ思った。
「そんな見るなよ、誘ってんのか」
「まさか」
すかさず答える。
ありえない、ありえない。
俺は、俺様ホスト教師。
つまり、バリタチだから。
まあ、教師×教師とか鬼畜×俺様って、良いカプだけどさぁ。
リバよりなカプって萌えだし、男前俺様受けとかご飯3杯だけどさぁ。
いやいや、俺は無いっしょ!
範囲外でしょ!
萌えの「も」の字どころか「m」さえねぇよ!
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