腐男子先生シリーズ | ナノ
(3)
明るい声と共に、教室の前の扉が勢い良く開かれた。
「どうした、加賀美(カガミ)」
先ほどチェックした名前の奴は、いつものへらへらした笑みを浮かべて歩いてくる。
よし、ここで加賀美について説明しよう。
脱色しすぎてちょっとふわふわな金髪、整った顔、長身。
つまり、かなりカッコイイ美形不良サン。
性格は悦楽主義者で自己中心的、ちょっと怠け者でもあるな。
でも表面上は社交的で明るくて、とにかくよく俺に構ってくる。
「えー、まだ加賀美だなんて呼ぶのぉ!」
口を突き出して、ブーイングする姿はおもしろい。
こいつもまた、めちゃくちゃ萌え要素を持ってるんだよなー。
「俺が楽しければいーや」なんてゆう最低人間。
そこに、受けの子(強気希望)がやってきて、こいつの闇を暴く。
そして、こいつはそいつを溺愛しだすわけだ。
あ、俺の中での加賀美は溺愛とかヤンデレ要員だから。
喧嘩もかなり強い実力者で、このクラスでも一目置かれてるしな。
「あー、・・・名前忘れた」
実は忘れてないけど、わざとそう言って肩をすくめる。
「ひどいよー」
めそめそを泣きまねをする加賀美だけど、こいつだって俺が忘れてないことくらい知ってる。
「よし、じゃ今日も頑張れよ」
未だ騒ぐ加賀美を残して、俺は小さく笑いながら教室を出る。
いつも後ろ手に手を振って教室を出る俺は、知らない。
後ろで加賀美が次はニコニコと笑い出したことを知らない。
もちろん、その口が言ってる言葉も、知らない。
「やっぱり、かあわいいッ」
その目が存外に真剣なのも、知らなかった。
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