腐男子先生シリーズ | ナノ
(3)
やあ、みんな!
なんでか、風紀室にいる俺様だよ!
気分なんて、絶好調・・・なわけねぇだろ。
怖さで今すぐ逃げ出したいですよ、例えるなら蛇の前におかれた手足のないネズミですよ。
・・・例えが気持ち悪くてごめんね。
まあ、そこあたりで俺の今の気持ちを理解してくれると嬉しい。
ちなみに、なんでのこのこ付いてきてんの、断ればよかったのに、って思った人。
あの威圧的すぎる笑顔に反抗する術を教えてください。
俺以外に誰もいない風紀室ってのは、なかなかに緊張する。
ふかふかのソファに座るも、心はまったく落ち着かない。
しかも連れてきた本人は、今は不在だからな。
まったく、どうなってんだ。
だけど、ここで帰ったら俺もうこの学園にいれない気がする。
チキンで悪いな。
まあ、これが俺以外だったらおいしいんだけどな。
2人きりの風紀室とか、にやけるじゃん、萌えじゃん。
自分だったら恐怖と気まずさしかねぇけどな。
ぼんやりと考えていると、ガチャリという音と共に「おまちど―さん」と例の声がした。
「イイ子で待っとった?」
にやりと口元を歪める篠原に、平静を装って溜息をつく。
「あのな、一体なんの用なんだよ」
俺様も忙しいんだよ、と肩をすくめて続けると、篠原はくすくすと笑った。
色っぽい笑い方に、ちょっと心が疼いた。
いや、だってさ、すっげぇかっこいいんだもん。
なんかちょっと鬼畜な感じ。
いいね、鬼畜ってすげぇ萌える。出来れば相手は強気かな、うん。
「センセ、あの変態保険医にベタベタ触らせとったやろ」
まだ淡く微笑みを浮かべたままで、流れるように言葉がつむがれてゆく。
意味をつかみ損ねて、少し首をかしげると、どんどん近づいてくる篠原は、また口角をあげた。
「せやから、お仕置きやで」
俺の両側についた腕が、ソファの形をやんわりと変えながら沈む。
唇を舐めた舌が、赤くてやけにリアルだった。
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