腐男子先生シリーズ | ナノ
(2)
「悪いな、篠原」
「ほんまやで。あの変態、本気でしばいたろか」
あ、いいと思います。
この学園の平和のためにも、その策はとても素晴らしいです。
いや、俺の萌え生活と貞操の平和のためにも、今すぐ実行してくれ。
表情はそのまま、内心で痛いくらいに首を縦に振る。
そんな俺をちらりと横目で見つつ篠原は、せやけどなぁ、と呟いた。
「あんたもやで、先生。もっと危機感もたなあかんわ」
え、危機感って。
むしろ俺は攻め要員だから、危機感もたれる側じゃね?
って思いはしたけど、篠原の流し目があんまりにも艶っぽくて言い逃した。
イケメンの流し目だとか、心臓に悪い。
いや、それ以上に悶えるけどな! ごちそうさまでした。
「ちょ、返事しぃや」
「、あ? あぁ、はいはい」
はっと我に返れば、こちらを見つめるちょっと冷たい目。
かっこいいけど、残念ながら俺はマゾじゃないんでやめて欲しいなっ。
少し怯える心を隠しつつ、流すように返事をする。
べ、別にチキンじゃないんだからね!、ってゆうのは、まあ可愛いチワワの専売特許だから言わないけどさ。
「・・・はぁ。もっと自覚もてや、ボケ」
「あ?何か言ったか?」
意識を飛ばしていた俺は、溜息交じりの篠原の言葉を聞き逃してしまった。
それなのに聞き返せば、もう無視を決め込んでいる。
ちょ、なに言ったの!
すんごい気になるじゃん!
焦らし!? これが噂の焦らしプレイか! ・・・って、どんな突っ込みやってんだよ、俺。
変態に遭遇して疲れたのかな。
元の、クールな俺のテンションが取り戻せねぇよ。
ふう、と息を吐いて、顔を上げる。
俺様ホスト教師らしく、もっと堂々と、サドっぽくいなきゃな。
「ま、ありがとな。じゃ、」
軽くお礼を言って、足を踏み出す。
職員室に帰って、ゆっくりしとこう。
最近見つけた、素晴らしすぎる創作サイト様のとこに行ってこよう。
「・・・待てやこら」
いきなりがしっと掴まれた腕の先には、にっこり笑う風紀委員長様がいました。
「ちょお付き合ってや、センセ?」
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