短編 | ナノ
(あいつ+俺)


※方言が含まれます。
簡単なものしか使わないように気をつけていますが、分からない部分があれば申し付けてください。注釈をつけます。






「あんまやろ、これ」
「うっせ。地球温暖化やっつよ」

秋なのか、と恨めしく言う俺。
となりの奴は飄々と俺の言葉を流した。

…まじありえん。
なんでこんなに冷たいと?
俺たち、恋人やこっせん?


「ふざけんな、バーロー!」
「おまえはどこの名探偵や。」

くそ、的確で素早い突っ込みがうぜぇ。
でも、こいつ以上なんて居らん。


「あ、帰りに寄り道して良い?」
「よだきぃ」

ふてくされた俺は、即答する。
なんでこんな暑い日に。
俺は暑さが嫌いやっちゃけど、こいつ知ってるよな。
新手の嫌がらせかコラ。


「こんな南国で何言っちょっと。」

呆れたような目つきが心に刺さる。
俺のプラスチックハートがかわいそうやし。

俺の恋人さんは小さく笑った。
そしてそのまま、寝転がる俺に顔を寄せる。



軽くで離れた唇を見つめ続けると、それは笑みの形をかたどった。

「記念日やし、どっか行こうや」


あぁ、もう。
こいつ以上なんて居るわけないやろ。

にやけた俺は、手を伸ばして2回目をせがんだ。



秋とは信じられん快晴の日。
透き通った高い空だけが、屋上の俺らを見てた。




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