(彼は言うわけです)
『僕は思うわけです』の続編
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「へぇ、そりゃ大変だな」
そっけない言葉とは裏腹に、足の間に座る俺をなでる手は、甘く優しい。
密着した背にある体温に落ち着く。
鼓膜を震わす低い声が心地よい。
ああ、もう、本当に大好きだ。
愛なんかじゃ表せきれない、強く焦がれる恋慕、激情。
一秒でも離れていたら、恋しくて、恋しくて。
こいつとじゃなきゃ、俺は生きていけねぇよ。
「ホント面倒、さっさと会長にでも堕ちろっての」
ため息混じりに毒を吐けば、ぎゅっと抱きしめられた。
「…もう止め。さっきから、そいつの話ばっかり。…、殺してやろうかな」
耳元でささやかれて、吐息がくすぐったい。
それ以上に、強くなってゆく俺を閉じ込める腕の力と、編入生への本気の殺意がくすぐったい。
「そんなことより、一緒にいてよ」
頬を緩めて言えば、優しく耳にキスされた。
大好き、愛してる、愛してる。
全部、ちょうだい。
ずっと俺のそばにいて。
募るばかりの想いも、くすぐったくて、幸せで幸せで仕方なかった。
「愛してる」
彼は言う、ああ、また募る。
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