短編 | ナノ
(僕は思うわけです)
人に自分の価値観や正義感押し付けてきて、その顔の皮はどんだけ厚いんですか。
「ちょ、待てって!ユウ!」
はい、ここで突っ込みどころがはや3つ。
命令すんな、呼び捨てすんな、待つわけねぇだろ。
ばっかじゃねぇの。
周りが全員、おまえを好きだと思うなよ。
おまえがどんだけ俺に好き好き言ったって、こっちは生理的に受け付けねぇの。
「無視すんなよ!」
すたすた歩く俺、後ろから呼ぶ声が少し震えている。
泣き虫フラグだなんて立つなよ、めんどくさいから。
数々の美形を攻略してきた編入生クン、だけどたった1人落ちない俺。
理由は2つ。
1つはもう言ったでしょ。
こういう自己中な人間、生理的に受け付けねぇの。
2つ目は、明らかな事実。
はぁとため息を1つ、身軽にくるりと振り返る。
途端に目を輝かせたのは馬鹿。
別に心開いたわけでもなんでもねぇっての。
「付きまとわないでくれる、編入生クン。君のハーレムは定員オーバー気味だし、それに」
にっこりと笑う。
これは、当たり前だけど目の前のこんな奴に向けて作った笑顔じゃない。
「俺、もうダーリンいるからさ」
愛おしい彼を想うだけで、俺は幸せ。
ぽつんと1人残された"編入生クン"は、不意打ちの笑顔に口を押さえて立ち尽くした。
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受け溺愛×攻め溺愛←王道編入生
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