短編 | ナノ
(世界は丸くなかった)



思わず握った手は冷たくて。

奇妙な肌触りは鳥肌が立つほどに不自然で。

拒絶された、と絶望的に思った。

彼と俺の間には、超えられない壁が出来てしまったのだ。


(生と死は、ひどく近しいようでやはり対極なのだ。)







いつも願っていた。


僕の全てがあなたの為にあれたら、

そう願い続けていたいと。

永遠や絶対はもちろん、願いなど儚い故のものだったのに。

きっといつかは崩れる。

それだから、願っていたのに。


ああ、朝が来た。

さようなら、愛しい人。



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