短編 | ナノ
(:repeat:)



愛してるよ

彼のその言葉を信じて、俺はまた繰り返す。




「愛してるよ」

仕事を終えた後、俺はいつもそう呟く。

勿論、赤に沈む奴らを愛してるわけじゃない。

ただ、なんとなく。

どうにも居たたまれなくなって、胸の痛みを殺すかのように呟くのだ。


愛してるよ、と彼は言う。
俺はそれに縋る。

愛してるよ、と彼は微笑む。
それは、明確な拒絶と絶望を隠す言葉。



愛してるよ

そう彼を真似て呟くことで、俺も自分の罪から逃げようとしているのかもしれない。


ひっそりと響いた贖罪は、でたらめに闇へと帰化する。




帰ろう、彼のいる場所へ。
独りから逃げよう。


自分の逃げ場はあそこだけ。

彼に利用されても構わない。
彼が嘘をついていても俺は独りになりたくない。




愛してるよ

彼の言葉を信じるしかなくて、愚かな俺は繰り返す。



- 7 -


[*前] | [次#]




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -