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毎日一緒に遊んだ


太陽が、人間を焦がさんばかりにつよい日差しを地上に注いでいる。

少年達は、今日もまた二人して河原で駆け回り、汗だくのままである場所に来ていた。



ゴォッと音が鳴り、おかっぱの少年の髪が突風に煽られてなびく。

メガネの少年は、彼の顔に掛かった髪を耳にかけてやり、満足げに微笑んだ。



「ありがとう。」



「別に良いさ。」



「なぁ、貞治。」



「なんだい?蓮二。」



「俺も、電車が好きだ。」



「?、そうか。」



二人は此処に、電車が通り過ぎた後の風を目的にやって来ていた。

夏場にはとてもありがたいので、ある種、二人の癒しの一つにもなっていた。



「…と、…に…から。」



「え?」



しかし、電車がすぐ傍を通る場所となると、会話は聞き取り難くなるものだ。

案の定、通過した電車の音で、蓮二の声は掻き消された。



「いや、何でもない。」



そう言って、蓮二は向日葵の様な笑顔を貞治に向けた。

それだけで胡麻かされる貞治は、よっぽど阿呆というか単純というか。

もしくはよっぽど蓮二の事が好きなのだろうか。



「そうかい。
…それより蓮二。今から少し打たないか?」



「また急だな。」



「でも、ラケット持ってる。」



「…まぁ、な。…だが、」



「ストテニだったら誰かしら居ると思うよ?」



貞治がさも当たり前、という風に言った言葉に、蓮二は少し吹き出した。



「…ダブルスは前提か、貞治。」



「当たり前じゃないか!
二人で世界を倒すんだから!!」



「何だか、冒険めいた言い方だな。」



蓮二はそう言って笑っているものの、満面に喜色を湛えている。




そんな蓮二を見て、もう一度貞治は満足げに微笑んだ。







毎日一緒に遊んだ




(君の笑顔が見たくて)

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