06.こわい


「よっぽど殴られてぇみたいだなあ」

「……っ…」

「おいおいマルコ、俺はいつものことだから良いかもしれないけどそいつは女だぜ?いくら得体が知れなくても」

「…いいですよ、サッチさん」

「お嬢ちゃん?」

「いいです、もう」


私は膨れっ面で少し両手を広げる。


「海に放り投げでもしたら?ここに落ちてきたんなら海に入って死んだら帰れそうだし」


ま、帰ったところで楽しい事なんてあまりないけど。


「とりあえず、死ぬなら海が良いですね」


私のこの一言に、誰かの息をのむ気配がしたような気がした。

死ぬなら海で。

本当にそう思う。

この海はきれいだし!

向こうなんかよりも、ずっと。


「おい、お嬢ちゃん、まさか」

「本気ですよ?だって行く宛ありませんし、他にも好きな海賊団はありますけどきっと会えないでしょうから…それなら帰ったほうがましかなあ、と」

「帰るって、行く宛無いんだろ?」

「ワケありですよエースくん。ワケあり。言っても信じてくれない人に言う意味はありませんから。ね!」

「俺は聞きたいねー。そのワケってやつ」

「あはは。やっぱりサッチさん好きです」

「おお、いきなりだな」


だってホントのことだもん。

みんな好き。

白髭海賊団大好き!

嘘じゃあ、ないでしょ?


「…あー…」


ま、いいかな。


「私はですね、異界人です」

「「「…は?」」」








こわいもの


それは一人ではなく、独り


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