47.ふわふわと


「そーれそーれ!」

「もっとちゃんと踊れよ!」

「なんだそれ!」

「ぎゃははは!」


みんなが騒ぐ中。

私に影がさした。


「…さやか?」


上を見ると、それはジョズさん。


「大丈夫か?」


そう言って差し出してくれたのは水の入ったコップ。


「あ、はい。少しぼうっとしてました」

「なんだ、酔ったのか?」


上からブレンハイムさんの声がふってくる。


「私一杯も飲んでないんですよー 酔うわけないじゃないですか」


言ってコップに口をつける。

あ、美味しい。


「まあ、空気に酔うなんてこともあるからな。気を付けるに越したことはない」


そう言ってくれるジョズさんに続いて「離れるか?」と聞いてきてくれるブレンハイムさん。


「私は大丈夫ですよー」


加えて「お気持ちだけで」と笑うと、踊り続けるクルーの方を見る。

流石に普段鍛えているだけあって、身のこなしは軽やかだ。


「楽しそう」


本当に楽しそうだ。

きっとこの船はいつでもそうなんだろうな。

きっと、いつまでも。


「………」

「お前も何かやれば良いだろう」

「へ?」


突然のビスタさんの言葉に、つい変な声が出た。


「思い付かなければあいつらと踊ってくればいい」


いやっ踊るって…!

あの激しいやつをですか!?


「む、無理無理無理無理無理!絶っっ対に無理!!」

「おっそれは良いじゃねぇか」


こらぁぁぁぁぁ!

ブレンハイムさん!

私が無理って言ってんのに乗るなぁ!


「面白そうだな!」


いや、ヤメテっ

ジルさん、そんな楽しそうな目で私を見ないで!

ダンスは少しならできるけど、あんな激しいのはさすがに…


「なあさやか」

「な、なんですかその手は…」


面白がったジョズさんとビスタさんの手がこちらに迫ってくる。

これに捕まったらきっと、あの輪の中に放り込まれる…!

私はブレンハイムさんの足の上をジリジリと移動してその恐怖の手から逃げる。


「さやか」

「い、いやぁぁぁぁああ!」








ふわふわと浮かぶ


何度目かの感覚…


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[mokuji]

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