03.次々と


「何やってんだ?騒がしい」

「!?」


思わず肩が跳ねる。


「お嬢ちゃん?」


こここここ、この色のある声は…!?

相も変わらず頭を撫でてくれているサッチさんの胸から頭を離して器用に振り向くと、そこには何とも言えない色気が漂っておりました。


「ん?お前さん、誰だ?」

「!?」

「わわっ」


私は慌てて顔を逸らしてサッチさんに引っ付く。

…と言うか悶える。


「やだやだやだやだどうしようどうしようどうしよう!?」

「大丈夫か?お嬢ちゃん」

「ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリ!!」


サッチさんの腕の中で必死に顔を振る私。

無理よ無理無理!

あの色気とご対面なんかした日には、私きっとぶっ倒れる!


「なあサッチ、お前のか?」

「いんや」


ふわあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!

ええ声!

とても良い声でございますよ!

そのお姿を余すところ無く見たいよ!

だがしかし!

私には毒で御座ります故、振り向くわけにはいきませぬ!

私は顔を手で覆って悶える。


「こっち、向いてくれないのか?」

「無理です無理です無理です!ダメダメダメダメムリムリムリムリ!」

「…そんなに嫌がられると、無理矢理にでもしたくなるんだが」

「っ!?」


手を掴まれた!

…と思ったときには、流石は男。

一瞬でサッチさんに背中を預ける形で目の前の麗しい方、イゾウさんと向き合っておりました。


「はっ…ぁ…っ」


目の前にあの憧れのイゾウさんがいるぅぅぅぅぅ!

幸せです!

涙が出そう!

イゾウファンの方の憧れのシチュエーション!!

壁ドン!

いや。今はサッチドンだけど!


「ゆ、夢でも寸分違わぬ美しさ…っ」


私は口元を手で覆う。

ああ、泣きそうです。


「それは褒め言葉か?」

「もも、勿論です!あぁ、美しいイゾウさま!」

「さまって、イゾウも好かれるねー」


私が後ろに倒れないように支えてくれてるサッチさんが呟く。


「あー、さまって言われたのは初めてだがな」

「これで私、死んでも良い…!」

「!?うおい!縁起でもねぇこと言うなよ!」

「ハッ!?親父さまに会ってない!!ダメ!死ねない!」

「問題そこ!?」








次々とあらわれる


みんながみんな、憧れで


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[mokuji]

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