40.選ぶ


side Marco


「お前、俺より年上だったのか?」


漸く口がきけるようになったらしいエースが問う。


「そーですよ。どうせ私はチンチクリンですよーだ」

「そんな事無いってー」


そう言ってさやかの後ろから抱きついたのはハルタ。

驚いた様子のさやかだがすぐに普通に戻りため息をこぼす。


「嬉しいですけどお世辞はいりませんよ?虚しいだけですから」

「お世辞じゃなくて」

「加えて私、デブですかが」

「太ってることってそんなにダメなの?抱き心地良いけど」

「抱き心地って…」


「外見だけ視るなんて、そいつらはバカなんだよ。さやかは十分可愛いよ?」

「……どうも?」

「ククッ なんで疑問系なんだよ」

「…なんとなく?」


うっすら頬を赤らめて離せとハルタに言うさやか。


「ハルタの言う通りだな」

「……?」


そんな2人を見ながらイゾウが言った。


「俺も悪くはねえと思うが?」

「なっ…んですと…!?」


ハルタの手を払いのけるのも忘れて体全体で驚きを表すさやか。


「だよね」

「あぁ」


口角をゆったりと上げて、何故かこちらに流し目をされた。

また、奴から醸し出される妖艶な空気。

なんだ。

俺に何を言えってんだよい。


「…まだまだチンチクリンだよい」

「っ!むっかー!パイナップルみたいな髪型した露出狂に言われたくありませんよーっだ!!」

「テメッ…よっぽど死にたいらしいねい」

「理不尽!!素直な方が良いって言ったのはどこぞのバナナさんですよね!?」

「「ぶほぉっ!?」」


話が聞こえたのだろう。

酒を飲んでいたクルーがせき込むのが見える。

…今吹いた奴、後で半殺し決定だよい。


「あははは!言うなあ」

「白ひげの一番隊隊長に、女の子でここまで言う子始めてみたよ」


面白そうに、愉快そうに笑うイゾウにハルタ。

エースは堪えているのだろうが、肩が震えているのでバレバレだ。


「ははっ愉快愉快」

「…不愉快だよい」








選ぶとしたら


選べたのなら…


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