39.きっと


side Marco


「で、何か用か?」

「あ、そうだ!親父さま!」

「そうだ!なあ親父!」


2人して親父に詰め寄る。

クルー達も何だ何だとこちらに視線を向ける。


「なんだぁ?」

「私の方が大人ですよね!」
「俺の方が大人だよな!」

「…はぁ…」

「クククッ」


ふたり声を揃って何を聞くのかと思えば。

なんてしょうもない質問だい。


「グララララ!どっちもガキだろーが」

「さやかの方がガキだ!!」

「エースくんの方が子どもでしょう!?」


ギャーギャー言い合う目の前の2人。

正直どっちが、じゃなくてどちらもガキだよい。


「エースくん今何歳よ!」

「俺は19だ!」

「残念!私は20だもん!」


…は?

エースとさやかの会話を遠巻きに笑って見ながら酒を飲んでいたクルー達が、一瞬にして静まり返る。

…おいそこ、酒をこぼすな。


「あ、もうすぐ21になりますけどね?」


少しの沈黙の後。


「「「…ぇっ…ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!?」」」


船が揺れるかと思うくらいの叫び声が響いた。


「お、おまっ…」


エースは言葉は出るものの驚きすぎて続かないようだ。

サッチはさやかを指さしてあんぐり口をあけている。


「え、さやかちゃんはたち過ぎてたの!?」

「…なんですかその目」


眉間に皺を寄せてサッチを睨むさやか。


「あーそうですね、サッチさんにとっては“こんなん”ですもんね。どーせ私はチビでデブで可愛くもないがきんちょですよー」


おそらくさっきのことをまだ根に持ってるのだろう。

頬を膨らませてそっぽを向く。


「わ、悪かったって!あれは言葉のあやで…」

「…ふん」


あわあわと言い訳を始めるサッチからさやかが顔を逸らしそっぽを向くと、サッチが床に沈んだ。








きっと願うには


若すぎたんだ


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