33.変える


「…で、」


頭を撫でてくれていた手を止めて、ハルタくんが言った。


「ん?」

「そろそろ離してもらっていい?」


私は背中に回していた手を離して少し距離をあける。


「あ、ごめんなさい。仕事ありますよね」


さっきからまた人が増えて忙しく動き回っている。


「いや、そうじゃなくてね。あー、それもあるけど…」

「…?」

「…痛いんだけど、ねぇ…?」


小さいハルタくんの呟き。

それと同時に目線を逸らす。

痛いって言った?

そんなに強く抱きついてないはずなんだけど。

私にはよく、意味が分からなかった。

でもなんか、後ろ気にしてる?


「おいハルタ」


ハルタくんの後ろから聞こえてきた声に、また無意識に肩がビクつく。

ああ、慣れないなあ…


「なあにー?」


何食わぬ(天使の)顔で振り向くハルタくん。

私も体をずらしてその姿を確認する。


「マルコたいちょー」

「…サッチが呼んだ時間に来ねぇって嘆いてるよい」

「あ、忘れてた」


じゃあねと天使の笑顔で大きく手を振るハルタくんに、私も大きく手を振り替えす。

あー。

癒しの時間がぁ〜。

そしてまたこのバナップルとか。


「誰がバナップルだよい」

「えっまた漏れてました?」

「…顔に書いてあるよい」


マジか!?

私、そんなに顔に出やすいの!?

自重しなければ。


「…素直は良いことだからこれでいいやー。めんどいし」

「絶対に後者が本音だろお前」

「やだなあ、失礼な人。マルコさんは素直な子より嘘ポンポンはく子の方が良いんですかー?」

「…んなわけねえだろい」

「ならいーじゃないですか!素直が一番!」








変えることは出来ないのか


何度も何度も考えた


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