32.変わった


おおお落ち着け私。

落ち着くんだ!

しっかりと王子様を見据えて。


「抱きつかせて下さい」

「それ真顔で言う事?」


どこかの火拳さんの如くきれいにお辞儀をした(はずの)私に、すぐさまツッコんでくれた王子様。

ナイスツッコミです!

いやはや。

この船にはボケもツッコミも沢山あって飽きなさそうだ!


「さやかってホント面白いね。エースの時みたいに勝手に来ればいいのに」

「じゃあ遠慮なく…!」


言ったそばから王子様、もといハルタくんに抱きつく。

抱きつきやすいように軽く両手を広げてくれた事にちょっと感動。

あ〜。

癒やしだ癒し。


「生だ生〜生の癒やしだ〜」

「生生言い過ぎ」

「生ハルタくんだ!超嬉しい…っ」

「ははは。ありがと」


背中に手を回してもう片方の手でよしよししてくれるハルタくん。

あのクソバナナに殴られて傷ついた私の心が癒されてく。


「まーたそんな事言って。マルコに怒られるよ?」


あれれ、また私声に出してましたか。

気をつけよう。


「いーもん。その時は悪口言ってからエースくんとこに逃げるので」

「あれ?おれは?」


胸に埋めてた顔を上げてハルタくんを見る。

あ、ハルタくん意外と背が高かった。


「いーの?」

「寧ろおれの方が安全だと思うんだけどねー」

「…じゃあ助けてくださいね?」

「対価はさやかの暇だよ?」

「よしきた!」


ここに固く同盟が結ばれたのを、まだ誰も知らない。








変わったのはきっと


無くしてしまったから


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