30.役に立つ


「あ!ビスタさん発見!」

「ん?ああ、さやかか」


食堂から避難してきて少し。

甲板目指して船をふらふらと歩いていると、重そうな箱を持ったビスタさんを見つけた。

うん。

さっきも見たけど、相も変わらず英国紳士!

グッジョブ!

そしてその後ろには…


「わあ!ジョズさんおっき〜」

「おおさやか。お前は小さいな」


痛いところをつくでないわ。


「…コンプレックスなんですが」

「わるいわるい」


頬を膨らませて睨むと、笑いながらだが謝ってくれたので許してやろうじゃないか!


「マルコはどうした?」


さっきまでずっと一緒に居てたのを知ってるからだろう。

ビスタさんがあたりを見渡してから私に問う。


「…ワタシニキカナイデクダサイ」


さっきのを思いだした私は、つい片言で言ってしまう。


「おいどうした」

「…マルコさんマジ怖い。やだ。今近づきたくない。私死んじゃう」

「何があったのだ?」


不思議そうに聞くビスタさん。

んー。

なんて言ったらいいの?

私にあの地獄絵の説明はできぬぞ。


「…エースくん?」

「「…あぁ…」」


うおいっ!

名前言っただけだぞ!

なんで理解されてるの!?

アレか!?常なのか!?

常連さんなのか!

…エースくん…

私はここまでだとは思わなかったよ。

君、どんだけさぼってんのさ。


「大丈夫かな」

「大丈夫だろ。あいつが悪い」


うん。

ジョズさんごもっとも。


「あー、ビスタさん何か持ちましょうか?」

「いや、女性に持たせる物ではない」

「えー…じゃあジョズさん」

「コレを持てるか?」


間入れずそう言って両肩に担いだ大きな樽を揺らしてみせるジョズさん。

おうおう。

私がそれを持つだと?


「ムリデス」


がたいの大きい彼が持っても大きく見えるのだから、相当なものだろう。

それを持った日には、私はこの世にいない気がするぜ。


「だろ?」


少し笑いながら言う2人に、また頬を膨らませる。


「むぅ…何かお手伝いしたいです…」

「ふむ。なら甲板に出てみるといい」


何か見つかるだろうと言ってくれたビスタさんにお礼を言い、2人に別れを告げて私は甲板に向かった。








役に立つこと


どんな些細なことでも良かった


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