25.楽しい


side Izou


さやかが落ち着いたのは暫くたってからだった。

俺を見る度に思い出すのか、叫ぶさやかに不意に奴…マルコが近づいた。


「早く落ち着いて出てくるよい」


マルコの言った言葉に、そりゃあ驚いたさ。

またすぐに言い合いを始めちまって、さっきの言葉なんか無かったかのように感じられるが。

俺と同様、サッチも意外だったようで。

その口はだらしなく開いていた。

マルコとさやかはコントのような会話をしながら船内に向かっていく。

その途中でちゃんと「失礼しました」と俺達に言うあたり、礼儀はちゃんとしているのだと感じた。

首根っこを掴まれて引きずられながら、さやかはマルコと船内に消えていった。

暫く呆然としていたサッチが呟く。


「…こ、れは夢か?」

「あのマルコがなぁ」


俺が続けて、煙管を懐から取り出しながら言うと、親父が笑った。


「グラララララ…!」


面白ぇなと笑う親父。

その言葉の真意は計りかねるが、俺も同感だ。


「ククッ」


面白い。

本当に、退屈しなさそうだ。








楽しいと思える


それほど幸せなことはない


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