23.遊び


side Izou


そしてついに…あーあ。

落ち込んじまいやがった。

サッチ最低だなお前。

その馬鹿も漸くさやかがうずくまってるのに気づき、声をかける。


「あれ?さやかちゃん?」

「うっ…酷いです…確かに魅力なんて欠片もないですけど…」


そんな事もないと思うがなあ。

そこで感じた、ある予感。

さやかが立つ。

その顔を見て、ああ、面白くなるなと確信を得た。

それと同時に、俺の中に悪戯心が芽生えた。

それなら俺が、もっと面白くしてやるよ。

俺は初めてさやかに悪戯した時の顔を思い出し、クツリと笑って足を進めた。


「貴方のこと、信じてたのにっ」


どこかの劇にありそうな台詞。

立ち上がったさやかは、口元を両手で押さえ、涙を溜めた目でサッチを見ている。

きっとさやかは、この場から走り去って終わるつもりだったのだろう。

真後ろまで来た俺は、一歩後ろに下がったさやかに手を伸ばし、さやかの手首を掴む。


「なら、俺にしとけよ」


そう言ってこちらに向かせると、頭ひとつ分くらい下には一拍遅れてから驚いて目を点にした顔。

少し体勢を崩しそうだったんで、その腰に手を当てて支えてやる。

見た目通りというか、括れはなかったものの、女特有の柔らかい体。

ふーん。

それも悪くはないな。


「悲しいんだろ?」

「…ぇ…」


腰を支えている手と手首を掴んでいる手に力を入れて引き寄せる。

振り向かせたときに俺の胸に置かれた手が、抵抗しようと動くが…

そんな弱っちいのじゃあ意味ないぜ?

今この状況、そして相手が俺だから良かったが、その行為は男を煽るものにしかならない。

段々と真っ赤になっていく顔を見ていたら、もう少し苛めたくなってきた。

俺もだいぶ、調子乗りだな。








遊び心は


変わっていなくて


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[mokuji]

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