21.目を 「……」 「ん?どした?」 サッチさんの声にチラリとそちらを見ると、こちらに歩いてくるパイン…じゃなくて。 「…マルコさん?」 何故かさっきよりもグレードアップした真顔(グレードアップするの?)で私の目の前(正確には親父さまの足の前)に立った。 「…?」 頭の後ろをかいて溜め息をついた彼は、静かに言った。 「あれはイゾウのただの悪戯だ」 「…?」 首を傾げるとまた溜め息つかれた。 あ、今絶対面倒くせえって思ったでしょ! 私の受けたあの測り知れないダメージ、一度食らうといい! 絶対に、骨抜きにされるから! 「早く落ち着いて出てくるよい」 …あれ? もしかして、気を使ってくれてたり、する…? まさか、あのマルコさんが… 「じゃなきゃ海に放り出す」 「ヒドッ!?」 んなワケ無かったね!! 一瞬でも期待した私が恥ずかしいわ!! 「鬱陶しいんだよい。その空気」 最低だこの人! あり得ないよ! 何なの!? 人情の欠片も無いの!? 「分かりました!出ますよ!ええ、出たらいいんでしょ!!」 ドスドスと音を鳴らして親父さまの足の後ろから出れば、「お、地震が?親父は何もしてないのにねぃ」とか言いやがるから「黙れパイン」って言えば拳骨が飛んできた。 え、酷くないですか? 「さっさと行くよい」 「おえぇぇぇ!首!首締まるぅぅ!」 「締まれ」 「遠回しに死ねと!?」 必死にもがきながらだが、親父さまにちゃんと「失礼しました」と言って、船内に入った。 残された2人がその光景に少し目を見開いてたなんて、(色んな意味で)必死だった私には見えなかった。 「…こ、れは夢か?」 「あのマルコがなぁ」 「グラララララ…!」 目を見開くほど 驚いたのは確かで [*prev|next#] [mokuji] top |