20.見る 落ち着いた私は親父さまの下に丸く座って頭を抱えていた。 いや、むしろ親父さまの足の後ろに隠れていると言っても過言ではない。 まあ、私達の茶番劇を甲板にで見ていた人たちが笑ってる(親父さまは終始グラグラ言ってた)から、めでたしめでたし! って! 全然めでたく無かったんだからね!! 「あはははははは!」 私は親父さまの足の向こう側で笑う現況を睨んだ。 いい加減笑い止まってよ! 「イゾウさんの、バカっ…」 私失神するかと思ったんですから!! 知らないだろうけど、あなたの声、生で聞くとハンパないんですよ!? 知ってます!? 知りませんよね!! 「……むっ」 「はは…いや、さ。甲板に戻ってみりゃ面白いことやってるもんだからつい、な。ククッ」 「だからって、だから…て…」 語尾が小さくなる。 また、あの声が蘇る。 『忘れさせてやるぜ?』 「うわあぁぁぁ!やだやだやだやだやだぁぁ!」 頭を左右に振っても離れてくれない。 それどころか… 『なあ、さやか』 「っ※£#%*&§@$¢!?」 「おー、声になってねーぞー」 「………」 「ククッ」 元はといえばサッチさん! あなたのせいなんですからね! 「グラララ。落ち着け、さやか」 「無理です…」 だってあれは… 悪いよ。心臓に。 「……」 見るのでさえも 息苦しいほど… [*prev|next#] [mokuji] top |